ジオシンセティックス(Geosynthetics)とは、土木用途の高分子材料(繊維、プラスチック、ゴムなど)を用いた製品の総称です。ジオシンセティックスは、材料が有する種々の機能を活かし、さまざまな建設工事の場で用いられます。近年では、東北地方太平洋沖地震に起因する福島第一原子力発電所の事故に係る除染廃棄物の適正保管においても、大いに利用されています。
当研究会は、上述のようなジオシンセティックスの研究開発、普及を目的とし、平成元年に発足した産学官連携の研究会です。当研究会では、これまで、排水材、排水補強材を皮切りに、ガス透過性防水シートや一体型複合遮水シートなどのジオシンセティックスについて、研究会を構成する会員がそれぞれの強みを発揮し、連携して研究開発を行ってきました。
それらの成果は、公益社団法人日本材料学会の「地盤改良」に関わる技術評価証明 第1013号(ガス透過性防水シート)や、一般財団法人沿岸技術研究センターの港湾関連民間技術の確認審査・評価 第06006号(一体型複合遮水シート)に認定されています。また、ガス透過性防水シートは、除染廃棄物仮置場の上部シートとして、広く使用されるに至りました。
最近では、除染廃棄物の適正保管、特に、中間貯蔵施設に使用されるジオシンセティックスや、仮置場に使用されている各種ジオシンセティックスの延命化などをターゲットに、研究開発を進めています。
今後も、皆様にお役立ていただける材料、工法をご提案すべく、研究会活動を進めて参る所存です。どうぞよろしくお願い致します。
2017年5月
ジオシンセティックス技術研究会
会長 嘉門 雅史
(一般社団法人環境地盤工学研究所 理事長、京都大学名誉教授)